「INSネット問題」が2020年→2024年に延期!ビジネスホン業界に与える影響とは?
これまでビジネスホンの「ビ」では、今後の電話回線の主流は「ひかり電話」になる、つまり「電話回線の光ファイバー化」が進んでいく事を取り上げてきました。
電話回線の光ファイバー化の促進に関して、NTTは2011年6月に下記の資料を発表しています。
◆2011年6月発表―pdf:電話網(PSTN)からIP網への円滑な移行について – 総務省
この資料を要約すると、
「電話回線が古くなったから、段階的に新しくしますよ。一部は、光ファイバー化するよ。そうすると、ISDN回線のごく一部で使っていた機能は使えなくなりますよ」
という事が書かれています。
この「ごく一部で使っていた機能」というのが「デジタル通信モード」というもの。
クレジットカード読み取り機やPOSレジで使われている通信の方式なのです。
つまり、電話回線の一部が光ファイバー化すると、デジタル通信モードが使えなくなるので、デジタル通信モードを使っているクレジットカード読み取り機やPOSレジが、そのままの状態では使えなくなります。
今回はこの「INSネット問題」について解説していきたいと思います。
目次
デジタル通信モードのサービスが停止するのは2020年!?
ニュースによるとデジタル通信モードのサービスが終了するのは2020年と発表されています。
2020年には、大混乱してしまいますよね。
昨日まで使えていた機械が使えなくなる、クレジットカードが切れなくなる、POSレジのデータが送れなくなる、そういった問題が起こるわけです。
もちろんNTTもそういった問題があることは把握していたので、電話回線の光ファイバー化は慎重に進めていました。
クレジットカード機器メーカーやPOSレジメーカーは、新しい光ファイバーでも利用できる機器を開発しているはずなのですが、もしかしたら、思ったほど普及が進んでいないのかもしれません。
そのような状況を考慮したのか、2017年4月にNTTから、このような発表がありました。
◆2017年4月発表―pdf:固定電話のIP網移行後のサービス 及び移行スケジュールについて
2020年に予定していたISDN回線のデジタル通信モード終了が、2024年に延期されたということです。ほっと一安心ですね。
ただ、4年延期されただけで、デジタル通信モードが終了する日が来るのは間違いありません。いち早く、対応機器への切り替えを進めたほうがよいでしょう。
INSネット64の「デジタル通信モード」が終了したらビジネスホンはどうなるの?
ビジネスホン業界の関係者の間でも、このニュースは注目されて話題になっていました。
「電話回線が全部、光ファイバー化するって?」
「既存のビジネスホンは全部使えなくなるって?」
「ISDN回線が廃止されるって?」
ビジネスホンの「ビ」を運営している美品宣言★にも、このような問合せが多く寄せられています。
本当のところはどうなのでしょうか?
INSネット64とISDN回線の違いについて
ここから先の話を分かりやすくするために、電話回線を取り扱う人でも知っている人はそう多くない「INSネット64」と「ISDN回線」の違いについて先に整理しておきましょう。
ISDN回線 > INSネット64
INSネット64とは、NTTが提供するISDN回線サービスのことを指します。
よって「INSネット64が使用できなくなる」とした場合、NTT以外のISDN回線サービスを使っている人には影響がないということになります。
※NTTの設備を利用している場合は影響があります。
例えるならば、
iPhoneはアップルが提供するスマートフォンのことを指します。
よって、「iPhoneが使用できなくなる」とした場合、アップル以外のスマートフォンを使っている人には影響がないということになります。
INSネット64とは、NTTが提供しているISDN回線のサービスの名称なので、ISDN回線全体を指しているわけではないということです。
INSネット64は「デジタル通信」「通話」「パケット通信」の3種類のモードがある
実は、この3種類のモードで、中止されるのは「デジタル通信モード」だけ。
他の2種類のモードは使うことができる。だから、急にINSネット64が使えなくなるわけではないという事です。
参考資料:INSネット「ディジタル通信モード」ご利用状況の確認について
2024年になってもISDN回線自体は使える!
2024年が到来して、NTTの予告通りISDN回線のデジタル通信モードが終了したとします。
ただ、これは、3種類のモードの内、デジタル通信モードが使えなくなるだけなので、通常の通話利用では全く問題はありません。
画像参考資料:INSネット(ISDNディジタル通信モード)終了に伴う対応の考え方(P.2)
結局、ビジネスホンにとってはあまり関係が無い問題!
今回のIP網への移行についての発表ですが、事の発端は「NTTの設備問題」ということのようです。NTTの設備問題に関して、他の企業などが「多大な出費をしなければならなくなる」というのでは、NTTに非難が集中することが予想されますよね。
それを回避するべく、NTTでは出来る限り『既存の端末は使えるようにしていく』ことが予想されます。
その例として、ISDN回線からオールIP化へ変換するアダプタを製造する案なども出ているようです。
このように、ビジネスホンが使えなくなるなどの影響は無いに等しいということになります。
画像参考資料:固定電話網のIP網への円滑な移行について(P.10)
中古ビジネスホンへの影響はどうでしょうか
新しいビジネスホンであれば、オールIP化対応も多いですが、「中古ビジネスホン」ではどうでしょう。
実は、中古ビジネスホン自体もどんどん新しくなってきています。
「NTT」「SAXA」「NEC」などのメーカーは、現行機の中古品がすでに出始めています。
また、人気の中心である1~3世代前のシリーズは、光ファイバーの直収にも対応しているパターンも多くあります。
よって、今、流通している中古ビジネスホンであれば、万が一、急にNTTがINSネット64を廃止だ!オールIP化だ!となった場合でも、問題は出ないでしょう。
もし、オールIP化となった場合でも、対策として「対応のユニットを購入して差替える工事」をすればいいので、コスト負担も大きくならずに済みそうですね。
まとめ
今回のニュースを整理すると、ポイントは大きく3つ。
- 事の発端は、NTTの設備問題
- 既存の端末は出来る限り使えるようにしていくことが予想される
- ビジネスホンへの直接的な影響はほぼ無い
様々な業界で問題視されている「INSネット問題」ですが、ビジネスホンには影響がほぼ無いということがわかりました。
しかし、今後の主流はやはり「ひかり電話」になることは容易に想像できます。
新しく電話回線を導入する場合も「ひかり電話」がお勧めです。
使用環境によってはこれを機会に「ひかり電話」に移行することを検討してみるのも良いかもしれません。
参考:今さら聞けない「ひかり電話」を徹底解剖!―最新ひかりコラボ事情とは?
ただ、3世代以上前のビジネスホンを使用している場合は、オールIP化に対応出来ない機種もあります。
まずは、ご利用中の機種がオールIP化に対応しているかどうかを確認することをお勧めします。
それでは皆様、よいビジネスホンライフをお過ごしください。
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